放送日 | 2024年7月7日(日) |
話者 | カルロスさん(@carlosnote_) ゆしさん(@yushi_writer) たくまさん(@takumawriter) |
議題 | 提案文を考えよう!クライアントの琴線に触れる営業メールとは!? |
- 提案文は最初の一文を意識せよ!
- 発注者はテンプレートの提案文を読むと萎える!
- ドキュメントベースで実績を提示するなら、本文だけでなく構成も入れるべし!
- 重要なのは「相手の時間を奪わない」提案文をつくること!
- 提案文をつくるときは相手のホームページやプロフィールを徹底的にリサーチする!
提案文を考えよう!クライアントの琴線に触れる営業メールとは!?
ゆし:クライアントの琴線に触れる提案文の書き方や、メッセージの返し方はWebライターであれば絶対に知りたい内容。僕自身も初期は提案文の書き方ですごく迷った記憶がある。
いまだに正解が分からないし、「どんなメールを送れば良かったのか…」と思い返して悩むこともしばしば。
メッセージに100点の定義はないが、クライアントの心に響かせるための言い回しや表現といった方向性はある。
たくまさんは営業が得意なWebライターなので、意見を伺いたい。
―提案文は最初の一文が超重要!!!
(再生時間 7:20)
ゆし:たくまさんは最近ディレクションもやり始めて「ライターを募集するフェーズ」になった。となると、ライターから営業メールや提案文をもらう機会も増えるはず。
もらった提案文を見て「この表現いいな」と感じたり、反対に「もっとこうすれば良いのに…」と思ったものはある?
たくま:良い印象があるのは、最初の一文がフックになっている文章。前半で「自分を選んでもらうべき根拠」を示してもらえると、選ぶ側は判断しやすいし「その先を読んでみよう」という気持ちになる。
具体的にフックとなる文章とは以下のとおり。
- 自分を選んでいただければサイトの構築まで回るようになります
- 特化した〇〇の分野で△△の成果をあげてきたのでぜひ執筆させてください
ゆし:僕も「序盤にフックを持っていく」のがポイントだと思う。なぜなら、クライアントはたくさんの提案文を見なければならないから。
たとえば、クラウドソーシングでは1つの募集に対して15人といった複数のライターから提案文が送られる。となると、自己紹介から始まって経歴を述べる同じような流れの文章よりも、 最初の時点で「自分を選ぶ理由」が載っていたほうが印象に残る。
たくま:そもそも、クライアントが外注をする理由は「時間がないから」。発注者であるカルロスさんは、送られてきた提案文を全部読みますか?
カルロス:正直なところ、全部は読まないですね。
たくま:長文で経歴やポートフォリオを大量に書いてもらっても読まない。読む時間もないし、面倒くさいから。コピーライティング的な要素ではあるが、提案文でも「一目で目を引くような文章」を意識できると良い。

「断言します!私があなたのメディアを変えます!!」とか「私を採用しないと後悔します!」とかね。



若干呪いのメール感がありますが…(笑)
カルロス:このような文章が送られてくるとクライアントは「なんだこいつ…」と思いつつも、プロフィールは見る。そこから興味を持ってもらえることもあるので、一定の効果はあるかと。
たくま:僕は今、本業関連でスカウトが来るタイプの転職サイトに登録していて、「〇〇の条件で雇用するので、1回見学に来ませんか」といったメッセージがよく届く。これは完全に用意されたテンプレート。
テンプレートになぞったスカウト文は読まないし、断る。だから、独自性があって前半に印象的な文章があると「最後まで読んで検討してみようかな」という気になる。
以前、お話した編集者さんも同じようなことを言っていた。たとえば、メディアの特性上かっちりとした取材が必要な場合は、職務経歴書に貼られている写真がスーツではなかったらそもそも経歴書の内容は読まない、と。
編集者さんとのお話について語られているスタエフはこちら


たくま:だから「見られていない」という前提で送ったほうが良い。
ゆし:見られていないなかでいかにどこでポイント付け・強調していくかを意識しなければならない。となると、重要なのはやはり冒頭。冒頭に自分のスキルや自分ならではの強みを書くとインパクトを与えられる。
たくま:ゆしさんであれば、次のように自身の強みを掲げている。
- 医療関連記事1,000記事執筆してきました!
- 薬機法を絡めたLP制作をします!
たくま:このように「一目で分かる」を意識して、提案文を考えると良い。
―もともと関係性がある人に提案するときのコツ
(再生時間 15:28)
カルロス:もともと関係性がある相手に提案をするときは、やり方を変えている?
僕の例をあげると、先日プロフィールを見に行ったらWIX(※)でホームページを作っている人がいたので、デモサイトを作成してDMした結果、サイト制作を受注することになった。
たくま:関係性のある人に提案するならば、僕もカルロスさんのようにデモ記事を提示すると思う。なぜなら、デモを提示するほうがコミュニケーションが早いので。
関係性がある人は「何に困っているか」を分かっているから提案しやすいし、よりフラットになる。
カルロス:ということは、クラウドソーシングであっても相手の求めていることが分かったら、アプローチの方法は変わるのでは?
たくま:実際にランサーズでも、Wordで見出しや構成を作って提案文を送ったことがある。募集に条件が書かれているのであれば、見出しや構成を作って送ると受注率は高い。
HTMLやCSSの知識がが不要なWebサイト制作ツール。WordPressと比較するとカスタマイズ性が低い。
―たくまが受け取った提案文を見て「もっとこうすれば」と感じたこと
(再生時間 17:54)
たくま:やはり長すぎる提案文は読む気が起きない。



何度もスクロールしなければならない長さの提案文を提示されるときついですよね。



本音を言えば、1スクロールもしたくない(笑)
スマホ画面に収まるくらいの長さだと良い。
たくま:中には、これまでに書いた記事を大量に送ってくれる人もいる。丁寧に見出しやテーマを書いてくれる人もいるが、読む時間がない。
加えて、実績として提示された文章が本当に本人の文章なのか、検討の余地がある。
ゆし:ドキュメントベースの編集が入る前の文章を提示するべきか、ディレクターの手が加えられたメディアに掲載された文章を提示するべきかは賛否が別れる問題。


ゆし:これはディレクターによりけり。たくまさんはどう考える?
たくま:実績をとるか、文章力をとるか、これはそのときの案件による。ただ、個人的には文章力はある程度のレベルに到達したらさほど変わらないと思っている。
丁寧に学ばれている方の文章は洗練されている。それが単価に直結しないこともあるので、一概には言えない。
ただ、ディレクター目線で言うと、ライターの文章力は自分の工数に関わってくるので、やはり求めたいスキルではある。「しっかり書いてくれる」と思えるライターには安心して仕事を任せられるので。
―採用も行うカルロスが考える「実績提示のコツ」
(再生時間 23:05)
カルロス:僕は入稿後の記事派。本文を執筆するだけでなく、装飾などの入稿まで請け負った記事を提示したほうが、提案が通りやすいから。
もし僕がドキュメントベースで実績を提示するのであれば、本文だけでなく構成も載せる。構成を見ると大体の原稿のクオリティが分かるので。
だから、実績の提示を求められたときに「構成をください」と言われなかったとしても、あえて構成を残す。
ゆし:これはとても良い方法!構成は次のような要素を考えながら作り込む。
- メインキーワード
- サジェスト
- 関連キーワード
- 共起語
ゆし:その過程を見せられるので、本文だけでなく構成も提示すると強い。



打算的ではあるが、ドキュメントベースで実績を提示するときは、ドキュメントの上部に本文、下部にコメントや参考文献などの作成過程を残した状態の構成があると強い。



構成まで提示できるのは、ドキュメントベースならではのメリット!
ゆし:メディア掲載後の記事+構成案を提示するとなると、掲載先のURLのほかに構成ドキュメントのリンクも必要。クライアントは時間がない中で複数のファイルに目を通さなければならない。
一方で、ドキュメントベースであれば1つのドキュメント内に本文も構成も示せる。
カルロス:営業用の構成を作っておくのも良い。「営業用の構成にここまでリサーチするか」と思われるレベルの、時間をかけた構成を作っておく。
実績として公開できるメディア掲載記事を持っていないのであれば、構成を載せてドキュメントの強さを活かすと良い。質の高い構成を作るポイントは、僕のポストを参考にしてください。
―ゆしが実績を提示するときに考えている基準
(再生時間 28:50)
ゆし:僕は、ドキュメントベースと掲載後の記事のどちらを提示しても良いパターンでは、メディアの権威性を考える。その理由は、知名度の高いメディアで執筆した記事は、アピールポイントになるから。
一方で、認知度があまり高くないメディアの記事しかないのであれば、あえてドキュメントベースで勝負するのもひとつの方法。
そもそも、実績公開できるメディアの記事がなければ、ドキュメントベースで出すしかない。その場合は、次のような文章を添えて送る。
【認知症メディアに応募するときの例】
「認知症に関連した記事を送付させていただきます。この記事はディレクターさんの手が加わっていない状態となりますので、ぜひ自分のライティングの参考にしてください。」
ゆし:このように「実績公開ができるものがないのでドキュメントを提出します」とは言わずに、「本来の私のスキルを見ていただきたい」というニュアンスで伝える。
たくま:「いやらしくならない程度にアピールする」ということですね。
―たくまが「提案文添削」で気づいた4つのポイント
(再生時間 31:33)
たくま:以前、「提案文の添削をする」という企画をして、2人が応募してくれた。そのときに気づいたポイントを、以下の4つに分けてお伝えする。
- はじめの一文をテンプレート化しない
- あえて「副業」とは書かない
- 経歴は西暦(年号)で分けて列挙すべし
- 参考記事を提示するときはタイトルとともに
ポイント1.はじめの一文をテンプレート化しない
(再生時間 32:31)
たくま:一文目に「突然連絡失礼します」というテンプレートの挨拶はもったいない。やはり、1行目に何を言うかは重要。
営業するときは、メッセージを送る前にホームページを見たり、クラウドソーシングであれば募集文を見たりして、クライアントの悩みを考えるはず。そこから想像して「〇〇についてお困りではないですか」「お力になりますよ」といった引きの強い文章を冒頭に持ってくるほうが効果的。
そのためには、インタビューをするときのようにクライアントの詳細な情報を集めなければならない。メディアを確認するのは最低限必要。
ゆし:発注者が最も萎えるのは「この提案文、テンプレだ」と気づく瞬間。しかし、最初の一文をテンプレート挨拶で送っている人は意外と多い。
たくま:カルロスさんが以前、SEO記事のタイトルを「〇〇について解説」にするのはもったいない、というポストをされていた。本質的にはそれと同じ。
たくま:最初の一文など、絶対に目につく部分は気を遣って考えたほうが良い。
カルロス:効果的な冒頭の文章作りは、普段のXのポストなどでトレーニングできる。僕も長文ポストを作るが、詳細をクリックしてもらうためには、冒頭に興味付けをしなければならない。
それを考えながら毎日ポストしていると、提案文でも自然とできるようになる。このトレーニングは無料でできるので、せっかくポストするなら意識してやってみると良い。
ゆし:ある種のセールスライティング的な要素をXのポストで学べる、ということ?
カルロス:そのとおり。僕はセールスライティングを誰かに教えてもらったわけではないが、有料noteの販売を繰り返すうちにできるようになった。
ゆし:Xでのトレーニングは、誰でも簡単に始められる。長文ではなく140字でも良いので、惹きつけるような最初の一文づくりを学びながら実践していく。



トレーニングするにあたって、カルロスさんの発信を見たりコピーライティングの本を読んだりすると良いのではないか。



僕のポスト全然パクってOKです!
ポイント2.あえて「副業」とは書かない
(再生時間 37:37)
たくま:副業でライターをやっている人は「副業ライター」と書きがちだが、書いてもあまり良いことがない。なぜなら、クライアントに「本業がある分レスポンスが遅いのかな…」「本業の片手間でやっているのかな」と思われかねないから。


たくま:だから、僕は「副業」とは書かずに「理学療法士の経験を活かした記事執筆が可能です」と言い換えている。すると、マイナスのイメージを持たれずに、権威性と説得力が増す。
ゆし:これは僕も同感。「副業」と表現するメリットが見当たらない。
たくま:クライアントからすれば、あなたが専業でも副業でも関係ない。品質の高い記事を期限内に納品してくれればOKなので。
ゆし:これは自分では気づきづらいポイント。本人に悪気があるわけではなく、自分のことを知ってもらうために一生懸命説明しようとするあまり、こういう表現になってしまうのでは。
ただ、客観視したしたときに、人によっては「副業」という表現がマイナスに働いてしまうケースもある。だから、たくまさんのように「理学療法士をやっているので〇〇の領域が得意です」といった言い換えをするのがおすすめ。



僕は病院の服でオンラインミーティングをやることもあるので、顔を合わせたときに「あれ、病院で働いてるんですか?」と言われることが結構ある。



それは意外性があって良いと思います!
「この人副業なのにこのスピード感でやってくれるのか!」となるので。
ゆし:使い方によっては良いギャップが生まれるなど、プラスに働くこともあるのかもしれない。ただ、結果的にそうなることはあっても、わざわざ提案文で言う必要はない。
当てはまる人がいたら、これから気を付けていただけるとより良い提案文になる。
ポイント3.経歴は西暦(年号)で分けて列挙すべし
(再生時間 41:04)
たくま:経歴を記載するときは文章よりも、西暦(年号)ごとに分けると見やすくなる。SEOライティングでも箇条書きなどを取り入れることがあるが、それと同じ。見やすさを意識する。


たくま:提案文を見る側からすると、経歴を時系列で提示してもらえると確認しやすい。
ゆし:ある種、ここでライティングスキルを測れる部分がある。文章で経歴を書いてしまうと、相手に「この人箇条書きできないのかな」「細部までこだわれない人なのかもしれない」と連想されかねない。
たくま:視認性はやはり大切。その点でいうと、ゆしさんのプロフィールはまとまっていて見やすい。
- 東証プライム上場企業の営業職
- 〇〇科を回っていた
- これまでに1,000記事以上執筆
ゆし:端的に、わかりやすく、視認性良く!
ポイント4.参考記事を提示するときはタイトルとともに
(再生時間 43:10)
たくま:参考記事を提示するときに、URLだけでなくタイトルも添えてもらえるとありがたい。なぜなら、タイトルがあると記事の内容を想像しやすいから。



タイトル入れない人、いるの?



XのDMやDiscordはリンクを貼ると自動的にポップアップが出るので、タイトルをつけない人もいる。


たくま:でも、ポップアップが表示されるのは、メッセージの一番上。リンクだけだと記事の内容が分からない。
タイトルがあると提案文を見る側は「こういう記事なんだ、ちょっと見てみようかな…」と思うので、心理的な障壁を崩せる。
些細なことではあるが、こういうことに気を配れる人とは気持ちよく仕事ができそうだと想像できる。受け取る側のことを考えてメッセージを作るのは非常に重要。
ゆし:提案の段階で、クライアントの時間を奪わないことにどれだけ配慮されているかを見極められる。たとえば、記事のリンクを2~3つのせるときはタイトルがなければ、どのリンクがなんの記事か分からない。
クライアントは時間がない中で複数ライターの提案文をチェックするので、リンクを開かなければどんな記事か分からないのは相当な負担。「もう面倒くさいからリンクをクリックしない」と流されて、機会損失につながる可能性もある。
タイトルではなくて、次のようにキーワードを記載するのでも良い。
- 在宅医療
- インビザライン
- ワイヤー矯正 痛い
たくま:記事の内容を想像できればOK。むしろ、タイトルを長く書くよりもキーワードのほうが良いかもしれない。
クライアントの時間を奪わないマインドは、SEOライティングをするうえでも意識していること。だから、SEOライティングと提案文で切り分けて考えず、SEOライティングで心がけていることを提案文でもすると良い。
―提案文を作成するうえで大切にすることまとめ
(再生時間 48:07)
たくま:第1にクライアントの時間を奪わない。そして、クライアントが求めていることを考え、先回りして提示する。
これらは、普段の職業によっても差が出る。たとえば、手術室を担当している看護師さんは、先生が手術をやりやすいようにすごく気を遣って仕事をしていると思う。そういう立ち回りができる人は、クライアントから重宝されるので、提案も通りやすい。
加えて、誤解や疑問を持たせないよう、細部に気を配ることも大切。読んでいる途中に誤解や疑問が生じると離脱につながるので「提案文を最後まで読んでもらえない」状況に陥る危険性がある。
クライアント目線に立つためには、大規模でなくても良いので一度外注してみるのが効果的。



リスナーさんはWebライターラボに所属している人が多いので、ラボの「お仕事依頼部屋」に案件を投げてみるなどしてみては?



外注は少人数制で1人、2人といったスモールスタートでやってみると良いかも!
リスナーからの質問
―ランサーズで足跡をつけてくれた人にメッセージをしていますか?(質問者:ささまほさん)
(再生時間 53:24)
ゆし:この質問については、以下の2軸にわけてお話しする。
- 案件化させるためのメッセージ
- 既存顧客へのメッセージ
ゆし:案件を獲得したいなら、足跡をつけてくれた人にメッセージを贈るのは必須。
「足跡がついた人=見込み顧客」なので、アプローチしなければ案件を取りこぼしている可能性が非常に高い。「何もないところから案件化させるためのメッセージ」は、ランサーズの足跡に限らず直営業でも活用できるポイントになる。とはいえ、どんなメッセージを送るべきかは難しいところ。
僕自身もいろいろなパターンの提案文を送って試したので、そのなかで感じたポイントをお伝えする。
―足跡がついたら即メッセージ!
(再生時間 55:50)
ゆし:僕は足跡をつけてくださった方には1時間以内にメッセージを送る。なぜなら、相手の気持ちが高まっているときにアタックすると効果的だから。時間が経つと熱が冷めやすい。
たとえば、次の2つの場面でメッセージが来たとしたら、読んだ時の印象は異なる。
- 「医療ライターゆしは、医療系の記事が書けるんだな。面白そうだな。」と思っているときにゆしからメッセージが届く
- ゆしのプロフィールを見て6時間後、夜ごはんを食べているときにゆしからメッセージが届く
ゆし:少しでも僕に興味があるタイミングでメッセージを読んでもらうために、僕は足跡がついたら早急にアタックする。
―ゆしさんは足跡がついて1時間以内にメッセージを送るとのことですが、足跡がついたタイミングって何で分かりますか?通知設定がありますか?(質問者:遠藤たまこ)
(再生時間 1:13:29)
ゆし:結論、通知設定はない。こまめにログインして確認している。
必ずしも1時間以内にメッセージを送らなければならないわけではなく、ログインしたときに足跡があれば反応する形でOK。チェックする時間を決めてリマインダーをセットするのも良い。
ちなみに、足跡がついたらその発注者に自動でメッセージを送る機能はある。自動メッセージを設定すれば1時間以内どころか1秒で返信できるが、個人的にはおすすめしない。
なぜなら、「自動メッセージ=テンプレート文章」だから。繰り返しになるが、テンプレート文章は読んでもらえないケースが多い。課題感は発注者によって異なるので、やはりクライアントのニーズに沿って丁寧にメッセージを作り込むべきだと思っている。
だから、僕は自動メッセージは使わない。
―具体的なメッセージの内容
(再生時間 57:20)
【ゆしが実際に送った足跡メッセージの例】
株式会社△△ ○○様
はじめまして。
医療ライターのゆしと申します。
このたびは当方のプロフィール(パッケージ)をご覧いただき、誠にありがとうございました。
当方は医療関連記事やインタビュー記事の執筆を得意としております。
貴社のホームページを拝見いたしました。
実現したいこととして「若い世代が働きたい、かっこいいと思えるようにしていきたい」という想いがとても素敵だと感じました。
ぜひ貴社のお役に立ちたく存じます。
記事執筆やインタビューなどお困りのことはございませんか?
ゆし:足跡をつけてくれた人の名前が分かっているのであれば「株式会社△△ 〇〇様」、分からないのであれば「株式会社△△ ご担当者様」で始める。続いて、簡潔に自己紹介をして得意分野を伝える。
僕が大切にしているのは「その会社について徹底的にリサーチをしてからメッセージを送る」ということ。足跡をつけてくれた会社の名前が分かればホームページを見て、以下のような内容をリサーチする。
- 会社の属性
- 事業内容
- 企業理念
- 運営しているオウンドメディア
ゆし:加えて、ホームページだけでなくランサーズのプロフィールも見る。なぜなら、ランサーズでは、発注者のプロフィールに「依頼を検討している内容」が書かれている場合も多いから。具体的には次のようなことが発注者のプロフィールに書かれている。
- SNS運用を依頼したい
- LP制作を依頼したい
- 医療記事を書いてもらいたい
ゆし:これは、ランサーズが発注者向けに「プロフィールのひな形」を作っているから実現している。プロフィールをチェックすると、足跡をつけてくれた発注者が求めていることや、困っていることを捉えられるので、メッセージを送る前に必ず見るべき。
ただし、ホームページ単体、ランサーズのプロフィール単体を見ただけでは情報が不足する場合もある。
僕が例であげたメッセージの自己紹介部分に「医療関連記事やインタビューの記事の執筆を得意としています」と書いた理由は、発注者のホームページに医療系のコラム記事や、その会社の製品の導入事例インタビューがあったから。



これはランサーズのプロフィールには書いていなかったので、ホームページを見なければ気づかなかった!
状況を徹底的にリサーチして、相手にフィットした自分のスキルの方向性を定め、簡潔にメッセージに取り入れると効果的。
―ゆしが営業先のホームページを見るときに重要視しているポイント
(再生時間 1:00:55)
ゆし:僕が営業先のホームページを見るうえで大事だと思っているのは「企業理念」。その会社がどんなビジョンを持ってるのか、絶対見るべき。
加えて、企業理念に共感したのであれば「どう共感したのか」を書こう。なぜなら、クライアントは会社と同じ方向を向いているライターを求めているから。
クライアントは、一緒に仕事をしていくうえで、同じビジョンを歩んでくれたり、共感してくれたりするライターのほうが仕事をしやすい。
企業理念を分かっていると発注者の印象が良くなるので、理念への共感をアピールするのは大事。
―最後の一文を「。」で終わらせない!
(再生時間 1:02:15)
ゆし:僕は最後の一文の文末を「。」で終わらせないことを最も意識している。なぜなら、クラウドソーシングのメッセージ機能やXのDMなど、ラリーを前提としているコミュニケーションツールの場合は「?」で終わらせると次の流れにつなげやすいから。
(※足跡メッセージの場合であり、直営業では異なる。)


ゆし:やはり、何度もスクロールが必要な長文で自分の経歴や実績を述べると、見てもらえないし離脱につながる。もちろん、クライアントのお困りごとや課題感を100%理解したうえで、それにフィットした内容が打てるのであれば、長文もOK。
ただ、営業は簡単ではない。クライアントが困っている内容は、会話やコミュニケーションをある程度続けて初めて分かる部分もある。そもそもクライアント自身も自分たちの課題が分からないケースもあるので、メッセージのやり取りを通して課題に気づかせる動きも必要。
となると、メッセージのラリーは必須。文末を「?」で終わらせてお返事をいただき、お返事に対してさらに適切なメッセージを送る。
これを何回か繰り返してクライアントが考えていることを深掘りするのがベスト。
だから、メッセージ形式の場合は、ある程度クライアントの困りごとや課題を予想しつつも、最後は「?」で終わらせて次につなげる。



実際に最後の一文を「。」で終わらせるメッセージと「?」で終わらせるメッセージを比較すると、本当に成約率が変わってくるので試してみて!



「ご検討のほどよろしくお願いします。」ではなく「?」だと「返信しなくちゃ!」という心理が働く!
ゆし:面白いことに、人間は心理的に「?」で終わらせるメッセージを無視できない。だから、クライアントの課題が分からないケースでは、あえて「?」で終わらせて反応を待つのはとても重要。
―ゆしがあえて長文の提案文を送るとき
(再生時間 1:05:52)
ゆし:クライアントの課題が細かく見えているのであれば、僕は逆に長文を送ることもある。
たとえば、サプリメントを取り扱っている企業のプロフィールに「酵素の商品を出していて、そのLPを制作してほしい」といった具体的な内容が書かれていれば、サプリメントのLPを依頼したいと明確に分かる。となると、アピールすべきは次のようなポイント。
- 自分のサプリメントLPの実績
- 薬機法の表現で工夫したポイント
- 薬機法関連のライティングをこなした数や年数
ゆし:これらをアピールして「必ずお役に立てます」といったメッセージを送るので、ある程度の文字数になる。
以前、「営業文は何文字くらいが良い?」と質問されたことがあるが、正解はなくケースバイケース。相手の課題が明確に分かっているのであればそれに沿った文章を。分からなければ短文でコンパクトにまとめ、「?」で終わらせて次につなげる。
―Xでフォロー・いいねしてくださった企業様にDMを送ったことが2回あります。これも方法としてはありでしょうか?ちなみに2回とも案件には至りませんでした(質問者:古賀優美子さん)
(再生時間 1:07:57)



これはあり!
激アツなのでやるべき!



営業は「ハードルが高い」と思っている人も多いかもしれないが、失敗してもマイナスにはならない。
無視されたら少し悲しいが、自分が割を食うことはないので「うまくいったらプラス」程度に考えてやってみるとチャンスが広がりやすい!
ゆし:ただ、僕はたくまさんが言っていることも質問者さんの気持ちも分かる。「送ったときに変な反応になったらどうしよう」と考えがち。
僕は前職で営業を10年やって、いろいろな壁を乗り越えてきたので、営業に対するマインドブロックはない。でも、営業に慣れていない人が「一歩踏み出せない」と思う気持ちもよく分かる。
今回はXで質問者さんにフォローといいねをしてくれている。フォローしてくれているということは、少なからず質問者さんに好意や興味を持ってくれたということ。だから、その企業にメッセージを送るのはとても良いと思う。
カルロス:フォローといいねをされてすぐにDMを送るのではなく、相手の全ポストをいいねしてからDMをすれば「この人全部のポスト見てきたな」という印象を与えられるかも。
ちなみに、自分のアカウントをフォローしてもらったりポストにいいねしてもらったりするために、あえて自分から狙っているメディアのアカウントにいいねするというテクニックもある。
ゆし:もしかしたらフォロワー稼ぎのためにフォローやいいねをしていて、案件を求めているわけではなかったというケースもあるかもしれない。ただ、好意を持ってくださった方へのアプローチはおかしいことではないので、アクティブにやっていくと良い。
―カルロス流!既存顧客へのアプローチ方法
( 再生時間 1:29:25)
カルロス:僕はエンドクライアントに近い位置で案件を受けていて、決定権を持っている人とやりとりするケースが多い。1メディアのディレクターと話すより、上流工程にいる人と話すほうが早いし、いろいろな話ができる。
以前、脳外科のクリニックで記事を書いていたら、同じグループの小児科のメディアの話につながったケースもある。クリニックを運営している会社のホームページに対して「ホームページってどこか会社入ってます?」「ホームページのこの部分がおかしいですが、僕がやりましょうか?」と言ってみることも。
入口は1つのメディアだったとしても、僕はどんどん上流に進んでいく。



関係性はどのくらいのところからスタートしている?
全く知らないところから徐々に関係を作っていくのか、ある程度知っている関係からスタートするのか。



僕もランサーズの足跡から営業したクライアントもある。
ただ、やはり紹介で受けたクライアントが一番やりやすい。
カルロス:エンドクライアントが発注してるマーケターとつながりがあるライターは、僕と同じような「ライティングの仕事だけではなく、その工程全部引き受けます」といった提案の仕方がマッチするかも。
ちなみに、営業のチャンスは請求書を出すとき。なぜなら、請求書を出すときは何かしらのやり取りが絶対にあるから。関連するメディアを分析して「こういうキーワードを入れましょう」といったような提案をする。
ゆし:さすがですね!カルロスさんならではの上流のやりとりをされている。
それをWebライターに置き換えて考えてみた。たとえば、SEO記事をずっと発注してくれるクライアントがいて、ある程度関係性ができている状態。そのなかで、ライターがSEO記事以外にインタビュー記事も対応できるのであれば、そういうメッセージを送るのもあり。
カルロス:SEO記事を受注するときに、クライアントのホームページを見ると「インスタもやっているのか」など、SEO以外のニーズに気づくことがある。目立つところになくても、フッターまでしっかり見ると情報があることも。
そういうときは「インスタって院内のスタッフが運営してます?」と提案する。僕はインスタ運用は専門外だが、できる人に振る前提で提案する。
ゆし:自分ができなくてもチームの人ができれば成立するので、なんでも提案できるのは羨ましい!Webライターに置き換えると、LPライティングをしている人はLPデザイナーと協業しているのであれば、「デザインまでやりますよ」と提案するイメージ。
カルロス:反対に、LPライティングを受注したら「良いデザイナーさん知りませんか?」と言われることもある。だから、仲介先を固めておくとすごく強い。
ゆし:カルロスさん自身も武器をたくさん持っていて、かつコネクションも多いので、自分にできないことがあっても他に振れる体制がすごい。
―カルロスがエンドクライアントとつながる方法
(再生時間 1:29:25)



カルロスさんはエンドクライアントとどうやって知り合う?
あやしい飲み会に参加するんですか?(笑)



あやしい飲み会でつながることも全然あると思いますよ(笑)
カルロス:でも、多いのは既存クライアント経由。たとえば、英会話スクールのホームページを作ったら、その代表が医師を紹介してくれたパターン。他にも、Xでつながったマーケターが、クリニックで医療系の記事を書けるライターを探していたパターンもあった。
経営者同士が知り合いだったり、マーケター経由でエンドクライアントとつながることが多い。
たくま:つまり、「人脈」ということですね。
カルロス:僕はKindleを出版するにあたって「カンさん(※)」という人のコンサルを受けた。コンサルをきっかけにつながったカンさんが、僕が作るサイトを良いと思ってくれて、Kindle界隈の人に紹介してくれる。
カンさん … kindle出版で3,000万円稼がれたすごい人。
Xアカウント:@ebook_kan
note:https://note.com/kan11jp/
カルロス:ここで大切なのは「Kindle界隈にいる人間の中でサイト制作に一番詳しい人はカルロス」という流れを作ること。Kindle界隈の人が経営者とつながっているケースもあるので。その経営者が医療メディアを作るとなれば「良い医療ライターいるよ」と僕を紹介してくれる。



芋づる式につながっていくんですね。
やはり、信頼している人から紹介してもらうほうがクライアントも安心ですから。



だから僕は、ライターではない人が出しているコンテンツを買うし、ライターが入らないようなコミュニティにも入る!
カルロス:そうすると、Webライターがレアキャラになれるから。そこから人脈を広げていく。
僕のKindle出版の経験もKindleをやっていない人からすれば珍しいスキル。Webライター界隈だとKindleを書けてもプロデュースまでできる人は少ない。
たくま:いろいろなところに顔を出すのが大事ですね。
カルロス:顔を出したときに「自分が何者か」が確立されていると良い。交流会に行っても実績がなければ、相手につながるメリットを感じさせられない。
相手が全く知らない知識を自分が持っていると「詳しい話聞かせて」となり、そこからどんどんつながっていく。
ゆし:ライティングに重きを置いている人で考えると、LPライティングができるのであれば、LPデザイナーが集まるコミュニティに行くと強い。実際に、僕もデザイナーさんが集まるオンライン交流会に参加した。
オフラインでデザイナーさんやコーダーさんが一緒くたになる交流会に行って、実際に案件を獲得したこともある。自分の価値をプラスに捉えてくれる場所に踏み込むのが大切。
Webライターしかいないコミュニティでは自分のスキルは埋もれてしまうが、デザイナーさんからすると喉から手が出るほど欲しいスキルで、重宝してもらえることもある。



ライターのコミュニティにいるのも良いけど、自分の価値を尊重してもらえたり評価してもらえたりするコミュニティに飛び込むのも重要。
うまく使い分けると良いですね!



つながりは、自分が仕事を発注することから始まるケースもある!
カルロス:たとえば、デザインの仕事を依頼した人と案件を通して関係を作る。その後、別のクライアントがデザイナーを探していたらそのデザイナーを紹介したり、逆にそのデザイナーからライティング関係の仕事を紹介されたり。
このように、仕事の依頼から始まるケースもあるので、ぜひ意識してみて。
コメント